ASMT(Asahi Speech Mechanism Test;旭式発話メカニズム検査)(簡易版Ver2)

 単に嚥下障害のみならずリハビリテーション医療の領域では,機能障害や能力障害の有無や程度について“その障害をどのように評価するか”が非常に重要です.またリハビリテーションを実際に進めていく上ではゴール(目標)の設定が極めて大切になりますが,患者さんの訓練のプログラムを立てていく際にも客観的な評価なくしては訓練計画の立案も出来ません.
 ところで言語リハビリテーションにおいては発話メカニズム全体の機能を定量的に評価する評価法として「旭式発話メカニズム検査」が開発され利用が進んでいます.当院ではこの「発話メカニズム検査」を簡略化して嚥下障害患者の評価法としているので紹介します.発声発語のメカニズムは,肺で呼気を産生しそれを喉頭で音に変え,さらに咽頭,口腔,鼻腔において一定の音色を与える一連の過程であり,これらの働きはもともと呼吸,嚥下といった生命の維持機能そのものと一体であるといっても過言ではありません.したがって,発声発語機能(構音機能)の評価を行なうことによって,嚥下機能を客観的に評価することができるようになります.
注:「旭式発話メカニズム検査」</span>(ASMT)は,国際医療福祉大学 西尾正輝先生の考案によるものです. 



 ASMTを用いての評価方法
ASMTは大きく分けて五つの項目からなり,それぞれの項目ごとに更に細かな評価を行ないます.評価結果は評価基準と照らし合わせ,0,1,2,3,の4段階に分類し,それぞれの機能の評価とします.

大項目 小項目 0 1 2 3 実測値
T.呼吸機能 1 呼吸数分/1分                   
2 最長呼気持続時間               
3 ろうそく消し               
4 痰の咯出                 
U.発声機能 5 最長発声持続時間                  
V.鼻咽喉閉鎖機能 6 /a/ 発声時の視診                  
7  口蓋反射                
8 Blowing時の鼻漏出                  
9 母音発声時の鼻漏出                
W.構音運動機能 10 口唇の安静時                
a.安静時の状態 11 舌の安静時                
12 下顎の安静時                 
b.運動範囲 13 舌の突出                
14 舌の右移動                   
15 舌の左移動               
16 上唇をなめる               
17 下唇をなめる                
18 舌尖の挙上               
19 奥舌の挙上              
20 硬口蓋をなめる                 
21 右の頬を押す                
22 左の頬を押す                 
23 頬をふくらませる                 
24 口唇の閉鎖               
25  口唇を引く                 
26 口唇の突出                
c.反復運動での速度 27 舌の突出ー後退                  
28 舌の左右運動                
29 連続舌打ち                 
30 口唇の開閉                 
31 下顎の挙上ー下制                 
X.その他 32 流涎                 
33 嚥下(水分)                
34 嚥下(固形物)                 
35 精密水飲みテスト                   
36 RSST                  

(旭式発話メカニズム検査簡易版 Ver.2 : 摂食機能研究会改変


ASMT(旭式発話メカニズム検査)評価基準 (簡易版Ver2)
T.呼吸機能
 1.  呼吸数/1分     
 実施方法: 安静時における胸郭および腹壁の動きを観察し,一分間の呼吸数を測定
 評価基準: 0− 27回以上,または9回以下.
1− 24〜26,または10〜12回
2− 21〜23,または13〜15回
3− 16〜20回
 備   考: 測定を患者に意識させない.
 2. 最長呼気持続時間 
 実施方法: 最大吸気後,できるだけ長くそっと/Θ/の構えで呼出する.
 評価基準 0−5.0秒未満
1− 5.0秒以上,10.0秒未満
2− 10.0秒以上,15.0秒未満
3− 15.0秒以上
 備   考 羽毛を口唇部に近づけて測定.
 3. ローソク消し
 実施方法: 最大吸気後,勢いよく呼出し,ローソクの火を吹き消す.
 評価基準: 0−不可(ローソクの火にゆらめきも生じない)
1−かなりの困難を伴う.(ローソクの火にゆらめきが生じるが不可)
2−多少の困難をともなう.(どうにか消すことができる)
3−容易に可能である.
 備   考 ローソクと口唇は30cmあける.吹き消す際に頭部を固定した方がよい.
 4. 痰の咯出
 実施方法: 最大吸気後,勢いよく呼出し,ローソクの火を吹き消す.
 評価基準: 0−不可
1−かなりの困難を伴う.(分泌物を喀出する呼気力はないが随意的運動は認められる)
2−多少の困難をともなう.(どうにか分泌物を喀出することができる)
3−容易に可能である.
 備   考: 反射的な咳嗽と区別する.
U.発声機能
 5.最長発声持続時間
 実施方法: 最大吸気後,できるだけ長く /a/ の発声を持続する.
 評価基準: 0−5.0秒未満
1− 5.0秒以上,10.0秒未満
2− 10.0秒以上,15.0秒未満
3− 15.0秒以上
V.鼻咽喉閉鎖機能
 6. /a/ 発声時の視診
 実施方法: /a/ の発声を持続させ,軟口蓋の挙上の程度を視診で観察する.
  評価基準:  0−まったく挙上しない
 1−顕著な異常が認められる(わずかな筋収縮が認められるのみ)
 2−若干の異常が認められる(正常範囲におよばないがかなりの挙上が認められる)
 3−正常範囲に達する
 備   考: 軟口蓋口腔側最上端が硬口蓋の高さまで挙上して正常範囲とする.
 7. 口蓋反射
 実施方法: 軟口蓋の両側を口蓋弓に沿って綿棒でこすり,軟口蓋の挙上の程度を視診で観察する.
 評価基準: 0−まったく挙上しない
1−顕著な異常が認められる(わずかな筋収縮が認められるのみ)
2−若干の異常が認められる(正常範囲におよばないがかなりの挙上が認められる)
3−正常範囲に達する
 備   考: 軟口蓋口腔側最上端が硬口蓋の高さまで挙上して正常範囲とする.
 8.Blowing時の鼻漏出
 実施方法: ストローでコップの水を吹き,blowing時の呼気鼻漏出の有無と程度を鼻息鏡で評価する.
評価基準: 0−極めて顕著な鼻漏出が認められる(5度以上)
1−顕著な鼻漏出が認められる(3,4度)
2−若干の鼻漏出が認められる(1,2度)
3−鼻漏出が認められない
 備   考: 鼻漏出の程度が変動する場合,最大検出値にて評価する.可能であれば,3秒程度blowingを持続させる.
 9. 母音発声時の鼻漏出  
 実施方法: 5種の母音を持続発音させ,発声時の呼気鼻漏出の有無を鼻息鏡で評価する.
 評価基準: 0−極めて顕著な鼻漏出が認められる(5度以上)
1−顕著な鼻漏出が認められる(3,4度)
2−若干の鼻漏出が認められる(1,2度)
3−鼻漏出が認められない
 備  考: 3秒程度発声を持続させる.5種の母音のうち,最も鼻漏出の程度の著しい音にて評価する.
疲れやすい患者の場合は,アー,イーの母音のみで行ってもよい.
W.構音運動機能
 <安静時の状態>
 口唇の安静時
 実施方法: 安静時における口唇の状態を観察する.
  評価基準: 0−極めて顕著な非対称性,萎縮,浮腫などの異常が認められる
1−顕著な非対称性,萎縮,浮腫などの異常が認められる
2−若干の非対称性,萎縮,浮腫などの異常が認められる
3−異常な要素が認められない
 備   考: 安静時に不随意運動のあるものは程度により2または1.
 11.  舌の安静時
 実施方法: 安静時における舌体の状態を観察する.
 評価基準: 0−極めて顕著な非対称性,萎縮,浮腫などの異常が認められる
1−顕著な非対称性,萎縮,浮腫などの異常が認められる
2−若干の非対称性,萎縮,浮腫などの異常が認められる
3−異常な要素が認められない
 備   考: 舌体の舌背,舌下面,舌縁をともに観察する.舌根沈下など舌根の異常は評価内容に含まない.安静時に不随意運動のあるものは程度により2または1.随意運動時の不随意運動は評価内容に含まない.
 12.  下顎の安静時
 実施方法: 安静時における下顎の状態を観察する.
 評価基準: 0−極めて顕著な下制位または偏位などの異常が認められる
1−顕著な下制位または偏位などの異常が認められる
2−ややめだった下制位または若干の偏位などの異常が認められる
3−異常な要素が認められない
 備   考: 安静時に不随意運動のあるものは程度により2または1.随意運動時の不随意運動は評価内容に含まない.上下顎前歯間に1〜3mmの安静空隙みられる程度の若干の下制位が正常範囲.
<運動範囲>
 13.  舌の突出
 実施方法:  開口位で舌を前方に突出する.
 評価基準: 0−不動
1−下顎前歯列上まで舌尖を突出できる

2−下唇上まで舌尖を突出できる
3−下唇よりまっすぐ前方に舌尖を突出できる
 14.  舌の右移動
 実施方法:

開口位で舌尖を右口角にまで移動する.

 評価基準: 0−不動
1−舌尖の移動距離が正中位―口角間の1/2以内である
2−舌尖が口角に達しないが移動距離が正中位―口角間の1/2以上である
3−舌尖が口角にまで達する
備   考: 下顎の合同運動(側方)を手指で抑制する.
 15.  舌の左運動
 実施方法 開口位で舌を左口角にまで移動する.
 評価基準: 0−不動
1−舌尖の移動距離が正中位―口角間の1/2以内である
2−舌尖が口角に達しないが移動距離が正中位―口角間の1/2以上である
3−舌尖が口角にまで達する
 備   考:

下顎の合同運動(側方)を手指で抑制する.

 16.  上唇をなめる
 実施方法: 開口位で舌を上前方に突出挙上し,舌尖で上唇の赤唇上縁正中線上をなめる.
 評価基準: 0−不動
1−舌尖で上唇の赤唇に触れることができない
2−舌尖が上唇の赤唇に触れるが上縁にまで達しない
3−舌尖が上唇の赤唇上縁にまで達する
 備   考: バイト・ブロックで下顎を固定し,下顎の合同運動(挙上)を抑制して開口位で行う.偏位しての舌の挙上は目評点からの範囲の誤りとみなし,一段階落とす.
 17.  下唇をなめる
 実施方法: 開口位で舌尖を下前方に突出下制し,下唇の赤唇下縁正中線上をなめる.
 評価基準:  0−不動
1−舌尖で下唇の赤唇に触れることができない
2−舌尖が下唇の赤唇に触れるが下縁にまで達しない
3−舌尖が下唇の赤唇下縁にまで達する
 備   考: バイト・ブロックで下顎を固定し,下顎の合同運動(挙上)を抑制して開口位で行う.偏位しての舌の下制は目評点からの範囲の誤りとみなし,一段落落とす.
 18.  舌尖の挙上
 実施方法: 開口位で舌尖を挙上し,舌尖と上顎中切歯口蓋側歯槽部または上顎中切歯の間で舌圧子を縦に挟んで保持する .
 評価基準:  0−不動
1−舌尖で上顎歯槽部に触れることができない
2−舌尖で上顎歯槽部に触れることができるが,舌圧子を保持できない
3−舌尖と上顎歯槽部または上顎中切歯の間で舌圧子を保持できる
 備   考: バイト・ブロックで下顎を固定し,下顎の合同運動(挙上)を抑制して開口位で行う.偏位しての挙上は目評点からの範囲の誤りとみなし,一段落落とす.
 19.  奥舌の挙上
 実施方法:

開口位で奥舌を軟口蓋に完全に接触するまで後上方に挙上する.外鼻孔をノーズクリップで閉鎖し /aka/ と強めに構音させて口腔が閉鎖されているか,視覚的,聴覚的に確認する.

 評価基準: 0−不動
1−奥舌がまったく軟口蓋に触れることが出来ない.

2−奥舌がようやく軟口蓋に触れるが口腔を完全に閉鎖することが出来ない.
3−奥舌が軟口蓋に接触し,口腔を完全に閉鎖する.
 備   考: バイトブロックで下顎を固定し,下顎の合同運動(挙上)を抑制して行う.
 20.  硬口蓋をなめる
 実施方法: 開口位で,上顎中切歯口蓋側歯槽部から軟口蓋との境界まで硬口蓋の口蓋縫線上を舌尖でなめる .
 評価基準: 0−不動
1−舌尖の移動距離は硬口蓋の1/2以内,または舌尖が口蓋に接触しない
2−舌尖の移動距離が硬口蓋の1/2以上,または舌尖が部分的に離れる,あるいは偏位する
3−舌尖が途中で離れることなく口蓋縫線上を移動する
 備   考: バイト・ブロックで下顎を固定し,下顎の合同運動(挙上)を抑制して開口位で行う.
 21.  右の頬を押す
 実施方法: 舌尖で右の頬部を押す.
 評価基準: 0−不動
1−舌尖が頬に触れている程度,あるいは口角を押す
2−頬部のふくらみがやや小さい,あるいは明確だが唇交連を押す
3−頬部を明確に押す
 備   考:

口唇と頬は鼻唇溝で境されることに注意を払う.

 22.  左の頬を押す
 実施方法: 舌尖で左の頬部を押す.
 評価基準: 0−不動
1−舌尖が頬に触れている程度,あるいは口角を押す
2−頬部のふくらみがやや小さい,あるいは明確だが唇交連を押す
3−頬部を明確に押す
 備   考: 口唇と頬は鼻唇溝で境されることに注意を払う.
 23.  頬をふくらませる
 実施方法 両頬を同時にできるだけ明確にふくらませる.
 評価基準: 0−不動
1−顕著にふくらみが小さい,または瞬間的にふくらむ
2−若干ふくらみが小さい
3−明確にふくらませることができる
 24.  口唇の閉鎖
 実施方法: 開口位で上下唇を閉鎖させ,口唇正中位で垂直に開放(閉鎖不全)距離を測定する.
 評価基準: 0−開放距離が3mm以上である
1−開放距離が1mm以上3mm未満である
2−開放距離が1mm未満である
3−完全に閉鎖する
備   考: バイト・ブロックで下顎を固定し,下顎の合同運動(挙上)を抑制して開口位で行う.測定 にはノギスを使用する.
 25.  口唇を引く
 実施方法: 上下唇をできるだけ明確に左右に引く.
 評価基準: 0−不動
1−顕著に引きの程度が小さい
2−若干引きの程度が小さい
3−明確に引くことができる
 26.  口唇の突出
 実施方法: 上下唇をできるだけ前方に突出する.
 評価基準: 0−不動
1−顕著に突出の程度が小さい
2−若干突出の程度が小さい
3―明確に突出することができる
c. 反復運動での速度>
 27.  舌の突出―後退
 実施方法: 開口位で舌の前方突出―後退運動を反復する.
  評価基準: 0−0(単発的運動時でも下唇より前方に舌尖が突出しない)
1−1.0回未満
2−1.0回以上3.0回未満
3−3.0回以上
 備    考: 基本的には下唇より前方に舌尖が突出して1回とする.下顎の合同運動(前方)を手指で抑制する.偏位しても下唇より突出できれば1回とする.
 28.  舌の左右運動
  実施方法: 開口位で舌尖の左右口角間の往復移動を反復する.
 評価基準: 0−0(単発的運動時でも左右の口角にまで舌尖が達しない) 
1−1.0回未満
2−1.0回以上3.0回未満
3−3.0回以上
 備    考: 基本的には左右の口角間を舌尖が往復して1回とする.下顎の合同運動(側方)を手指で抑する.
 29.  連続舌打ち
 実施方法:  開口位で舌打ちを反復する.
 評価基準: 0−0(単発的運動時でも舌打ちができない)
1−2.0回未満
2−2.0回以上4.0回未満
3−4.0回以上
 30.  口唇の開閉
 実施方法: 臼歯を噛み合わせた状態で口唇の開閉運動を反復する.
 評価基準: 0−0(単発的運動時でも口唇をほとんど開閉することができない)
1−1.0回未満
2−1.0回以上3.0回未満
3−3.0回以上
 備    考: 基本的には口唇正中位で口唇の開閉運動が認められて1回とする.下顎の合同運動(下制)を手指で抑制する.
 31.  下顎の挙上―下制
 実施方法: 下顎の挙上―下制(開閉)運動を反復する.
  評価基準: 0−0(単発的運動時でも下顎をほどんど開閉することができない)
1−2.0回未満
2−2.0回以上4.0回未満
3−4.0回以上
  備    考: 基本的には咬合音が聞きとれて1回とする.
X.摂食機能
 32.  流涎
 実施方法:  安静時,会話時,摂食時,などの流涎の有無と程度を観察する.または問診する.
  評価基準: 0−常時顕著な流涎が認められる
1−会話時,摂食時などに顕著な流涎が認められる
2−会話時,摂食時などに若干の流涎が認められる
3−ほとんど流涎が認められない
 33.  嚥下(水分)<窪田式水飲みテスト(一部改変)>
 実施方法: 常温の水30mlを注いだ薬杯を椅坐位の状態にある患者の健手に手渡し,“この水をいつものように飲んでください”という.水を飲み終わるまでの時間,プロフィール,エピソードを測定,観察する.
 [プロフィール] 1.1回でむせることなく飲むことができる.
2.2回以上に分けるが,むせることなく飲むことができる.
3.1回飲むことができるが,むせることがある.
4.2回以上に分けて飲むにもかかわらず,むせることがある.
5.むせることがしばしばで,全量飲むことが困難である.
 [エピソード] すする様な飲み方,含むような飲み方,口唇からの水の流出,むせながらも無理に動作を続けようとする傾向,注意深い飲み方など
 評価基準: 0−ほどんどまったく不能,または極めて顕著にむせる
1−プロフィール3,4,5(異常)
2−プロフィール1で5秒以上,プロフィール2(疑い)
3−プロフィール1で5秒以内(正常範囲)
 34.  嚥下(半固形物)
 実施方法: 半固形物(ヨーグルト,プリンなど半固形状の食品)を嚥下させる.および問診する.
 評価基準: 0-嚥下がほどんどまったく不能,または極めて顕著にむせる.
  もしくは口腔内に極めて顕著に食塊が残存する.
  嚥下がほどんどまったく不能,または極めて顕著にむせる.
  もしくは口腔内に極めて顕著に食塊が残存する

1-嚥下にかなりの困難をともなう,または顕著にむせる.もしくは口腔内に顕著に食塊が残存する
2-嚥下に多少の困難をともなう,または若干むせる.もしくは口腔内に若干の食塊が残存する.
3-嚥下が容易にむせることなく可能で,口腔内に食塊が残存しない.
    考: 水分(33)と半固形物(34)の両方を施行し,機能不全のより著しい方で評価する.嚥下運動のなめらかさ,およびむせの有無と程度から嚥下反射(第2相)を,また,嚥下後,口腔内の食塊の残存の有無と程度から舌の送り込み運動(第1相)を評価する.こうして嚥下の第1相と第2 相の両方を全般的に評価する.重篤な嚥下障害により経口摂取が許可されていない場合は0とする.また,ふだんの食事の様子を問診し,検査時にむせがみられなくてもふだんむせがみられるものは程度により1または2とする.
 35.  精密水飲みテスト
 実施方法: 冷水を1ml→2ml→5ml→10ml→20mlの順で与え飲み込んでもらう.
ただし,5mlまではシリンジを用い,舌下部にいったん溜めておき合図とともに嚥下させる.10mlからは浅型茶碗(湯呑)かコップを用いる.
 評価基準: むせた時点の冷水の量を実測値の欄に記録する.
 36.  唾液飲みテスト(反復唾液嚥下テスト:RSST)
 実施方法

@被検者は原則として座位,ベッド上ではリクライニング位.
A検者は被検者の喉頭隆起および舌骨に指腹を当て,唾液(空)嚥下運動を繰り返させる.
 被検者には「できるだけ何回も“ゴックン”と唾をのむことを繰り返してください」と説明する.
 喉頭隆起の上下運動を確認し,下降時点を嚥下完了時点とする.

Bこの運動を30秒間観察し,触診で確認した嚥下回数を観察値とする.
 嚥下障害患者では,1回目の嚥下運動はスムーズにおきても,2回目以降困難であったり,
 喉頭挙上が完了せず喉頭隆起・舌骨が上前方に十分移動しないまま途中で下降してしまう場合が多い.
 この不完全な運動は正常の運動と区別する必要がある.

C口腔内が乾燥して嚥下運動がスムーズに出ない場合には,水を1ml程度滴下してテストしても良い.  

 評価基準: 0−全く嚥下運動が起きない.
1−嚥下回数1回
2−嚥下回数2回
3−嚥下回数3回以上
  
(参考文献:西尾正輝著,旭式発話メカニズム検査,インテルナ出版,1994)   
旭式発話メカニズム検査の新たな情報に関しては,「ディサースリア臨床研究会」の
「旭式発話メカニズム検査改訂版ASMT-Rについて」
をご参照下さい.


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